


──Ma № Thé──
山深き岐阜・東白川、霧に包まれし黒川の地。選び抜かれた茶葉は、
自然の静けさと職人の誠実を宿し、ただ一杯に、時の深みを映し出す。
昼と夜が交わる冷気、陽をやわらげる霧、渋みを和らげ、旨味を育むその環境は、
まるで茶葉のために用意された舞台。
空間に座り、時を味わう。そのひとときのために、私たちは一つ一つの芽を摘む。
──日本の美学の茶という世界──
雪駄で足元から美学をを纏い、一歩を運ぶたびに、静けさと所作の美を感じ、
やがて「間の座」へと辿り着く。そこで淹れられる一杯の茶。
時を味わい、空間を感じ、自らと向き合うひととき。

岐阜県東白川村──標高260mから1,100mを超える山々が折り重なる中山間地。その静けさに包まれた黒川地域は、全国でもごくわずかしか流通しない「美濃白川茶」の中でも、とりわけ上質な茶葉が育つとされる特別な土地です。
特に霧の発生が多いこの地域では、強い日差しが自然と和らげられ、光合成が適度に抑えられることで、渋味のもととなるカテキンの生成が自然にコントロールされます。結果として、旨味成分であるテアニンが豊富に蓄積され、甘味・旨味・ほのかな渋味が繊細に調和した、まろやかで品格ある風味が生まれます。
一番茶とは、冬を越えた茶の樹からその年最初に摘まれる茶葉。新芽には旨味成分が多く含まれ、栄養価が高く、香り・味ともに優れているのが特徴です。「間の座 00」では、そうした一番茶の中でも特に品質の優れたものだけを厳選し、製茶・火入れ・仕上げに至るまで、丁寧なプロセスを経て完成させています。
こうして生まれる茶葉は、口当たりがやわらかく、口に含むと清らかな香りがふわりと広がります。余韻は静かで長く、まるで山々の静けさそのものが湯の中に映し出されたかのよう。
それは、一煎ごとに五感が研ぎ澄まされ、自身と向き合う“間”を整えるための体験です。喧騒の中で見落としがちな、自分の輪郭を取り戻すための時間。茶葉に宿る大地の記憶と、自然が与えてくれる静けさを、心に注ぐように。
特に「00」の一番茶〈緑茶〉では、摘みたての鮮烈な香気と旨味を封じ込めるため、鮮度保持に優れた特製スクリュー缶を採用。
まるで山間に立ちのぼる朝霧のように、やわらかくも澄んだ香りが広がります。一芯一葉の誠実な摘みと、時間を止めるかのような密封技術が出会い、一杯に宿る“間”の美を極限まで引き出しました。
そのひとときの物語は、この「00」番から始まります。
